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アスペルガー症候群の治療教育「療育」

家族

アスペルガー症候群は病気ではないので、治療は基本的に家庭生活で親と一緒に日常的に行う生活の改善や、訓練になります。代表的なものには以下のものがあります。

家庭の心構え・姿勢


アスペルガーの子供は、まわりにあわせることが苦手です。そのことを解消するために、まず大人から歩み寄り、彼らの特性を理解しましょう。そのうえで、安心感のある家庭環境をつくることが大切です。子供が自然体でいられるように安心感をもたせてあげましょう。

安心感をもたせるうえで大切なことは、ご両親が仲良く協力しあって子供に接することです。母親だからこうしないといけない、父親だからこうするべきだというような固定観念をはずし、お互いに支えあいましょう。ご両親に心の余裕があることで子供がとても安心します。

そして、子供の自立や成長を促すために、小さな成功体験をさせることで、自尊心を育んでください。必要なのは、失敗体験の積み重ねや無理な努力ではなく、成功体験です。アスペルガーの子は普段からまわりとうまくいかないため不安に陥りやすいです。失敗を繰り返すと、周囲の人への信頼をなくし、不登校などの二次的障害につながってしまいます。

なお、本人に兄弟がいる場合はその兄弟の時間を作ってあげることも大切です。ついついアスペルガー症候群の子に集中してしまいがちですが、兄弟とて子供です。甘えたい盛りです。親をそれぞれ独占する時間が必要です。親の気分転換にもなりますので兄弟のためにも時間をつくってあげましょう。

TEACCH

自閉症スペクトラムの治療教育の方法として、今最も高く評価されているのがアメリカで生まれたTEACCHという方法です。このTEACCHの考え方を参考に、普段の生活や環境を見直すと、子供の負担が軽くなり、生き生きと暮らせるサポートになります。

TEACCHの基本的な考え方は、構造化、視覚化、無理をさせないの3つです。

特徴 内容
構造化 時間や空間を細かく区切って、視覚的に表現します。例えば、1日のスケジュールを細かく定めて大きく貼り出す、部屋のなかを区切って寝る場所、遊ぶ場所などを決めておくなどがこれにあたります。想像力不足を補うのに役立ちます。
視覚化 絵カードや文字、写真などを使ってコミュニケーションをサポートします。
無理をさせない すぐにできないことは無理させません。小さい目標をもうけるようにします。

生活習慣とマナー

TEACCHなどの考え方をもとに、適切な生活習慣をみにつければ、普段の生活や公共の場などでのトラブルは減少します。ここでは、基本的な生活習慣とマナーの身につけ方をご紹介します。

特徴 内容
具体的なスモールステップを踏む 暗黙の了解や不明確な支持はアスペルガーの子には伝わりにくいです。こちらが当たり前と思っていることでも、ひとつひとつ丁寧に、教えて下さい。
「きちんとして」のような不明確な言葉はわかりません。他人の感情を読み取るのも苦手なので言葉の意味をしっかりと最後まで伝えてください。例えば、服装が乱れていれば「だらなしない」だけでなく「だからシャツをズボンに入れてほしい」ということを伝えるようにしましょう。
その際に大切なのは、子供にとってわかりやすいコミュニケーション方法をとることです。まずは手本を実際にみせる、そして視覚のほうがわかりやすいので絵や文字、写真などをつかってみてわかりやすいようにするのがコツです。そして、ひとつひとつ、小さなステップを踏んで教えてあげるようにしてください。
完璧を求めない アスペルガーの子だけに限りませんが、子供は機転を利かせることになれていません。アスペルガーの子はとくに対人関係において失敗しがちになりますが、あいさつや電話の取り方などはパターンをつくってひとつひとつサポートしながら教えていきましょう。親しい人と練習するのもよいでしょう。
曖昧にしない 「きれいに」「ちょうどよい」などの曖昧な言葉はつたわりにくいです。形容詞や副詞は避け、具体的な言葉にしましょう。たとえば、「きれいにとはどこをふきとればいいのか」「ちょうどよいとはどのくらいなのか」などを伝えてください。
食事 アスペルガーの子は、「マナー」という抽象的な概念が理解しにくいようです。そのため、食事中にたったり、歌ったりしてしまうこともあります。まずは食事が楽しいと感じられるような環境を整え、少しずつマナーを丁寧に教えていきましょう。できたらほめることを忘れないでください。
また、アスペルガーの子はこだわりが強い、未知の食べ物への不安があるので偏食になりがちです。これはすぐに解決しようとせずに、じっくり対応しましょう。本人の好き嫌いを話し合ったり、食器を工夫したりすれば意外な気づきがあることもあります。
空間や時間をわける アスペルガーの子は几帳面な子が多く、規則性を好みます。規則的にするのが難しい空間や時間に関しては環境を整えてあげましょう。
自分の部屋がある場合は、休憩スペースと勉強スペースを区切るなどすると、空間を認識しやすくなって行動が落ち着きます。
時間に関しては、予定表を設置して、行動しやすいようにしてあげます。
得意をいかす アスペルガーの子は規則的なことが得意です。掃除や調理が得意であれば任せてみましょう。自尊心をはぐくむことに役立ちます。
また、興味のかたよりをいかしてそれを評価し、興味を勉強や仕事に役立つようにサポートしてあげるのもいいでしょう。
理由を説明する アスペルガーの子はなんとなくすることを嫌がります。理由をきちんと説明してあげましょう。

トラブルへの対処法

アスペルガー症候群の子供は、その特性から自分自身あるいは周囲とのトラブルを起こしがちになります。そんなときは、本人の気持ちを聞いてあげることが大切です。ここではトラブルの例を紹介しながらその対処法をご紹介します。

特徴 内容
特性の理解 まずはその子の特性を理解します。どんなときにトラブルになるのか、何を繰り返すと安心できるのかなどを理解し、その子にあう対処法を考えていきましょう。アスペルガーの子は周囲にきちんと言葉で伝えるのが苦手ですので、気持ちを聞くようにしましょう。
感覚、知覚過敏 アスペルガーの子は感覚や知覚が敏感ですので、周囲の人がなんでもないと思っていることを強くいやがることがあります。大きな音や強い光、香水などのにおい、特定の食べ物などを嫌がることがあります。子供が喜ぶと思って行うことが苦しめていることもありますので、特性をきちんと理解しておきましょう。直すのではなく、ストレス軽減を優先させてください。
規則に幅を取る アスペルガー症候群の本人は規則や時間に異常にこだわります。規則やスケジュールが守られないと強い混乱と不安をもちますので、あらかじめある程度幅をもたせるようにしましょう。状況が変わることもあると伝えておく、時間なら○時~○時と幅をもたせることがよいでしょう。
交友関係 集団行動が苦手なので1人で過ごしたがります。交遊を強制せずに本人の意思を聞きましょう。友達がほしそうであればアドバイスしてあげましょう。
言葉 コミュニケーションや想像性、社会性を持つのが難しいので、言葉遣いが状況にあわないものになってしまうことがあります。
まずはマニュアル的ですが、便利な言い回しを教えてあげましょう。あいさつやお礼などをルールづけするとよいでしょう。大人には「です」「ます」を使うようにさせてあげるといいでしょう。困ったときは、「わかりません」「おしえてください」などをいえるようにしておきましょう。
外出先 外出するとできることができなくなる、または普段と勝手が違うために不安になることがよくあります。うまく過ごせるために、サポートをしましょう。ルールを説明したり、勝手知った場所で練習するのもよいでしょう。イラストを使った練習も効果的です。
事前予告 臨機応変な対応を求められると、不安になりパニックを起こす子もいます。こうした事態を避けるためには、予定の変更や指示を事前にできるだけはやく伝えておくことです。
パニック時 パニック時はまずは本人を別の場所につれていって落ち着くまで待つようにしましょう。身体を触られるのを嫌がる子もいますので気をつけてください。
パニックには必ず理由がありますので、周囲の人はなぜパニックが起こったのかを検証しましょう。子供が落ち着いたら不安や悩みをききましょう。これがのちの予防に役立ちます。

二次障害への努力

アスペルガー症候群のお子さんは、幼児の頃~学童時期にかけて失敗、叱責、虐待、いじめなどが原因となって、不登校やひきこもり、ニート、反社会的行動(犯罪)などを引き起こすことがあります。

これを防ぐには、原因をしっかりと抑えていくことが大切です。そのために、特に保護者や教師は、①周囲にわかってもらう努力をする②わかってもらう工夫をする③わってくれる人を増やすといったことが大切になります。辛いこともあるとは思いますが、根気よく活動していきましょう。

二次的症状への薬剤療法

アスペルガー症候群に伴って二次的に発生する精神病には、薬によって治療が行われることがあります。幻覚・妄想には抗精神薬、気分障害には気分安定剤、強迫性障害にはSSRIやSNRI、うつや不安にはSSRIなどが使用されます。

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